アートディレクターが整理整頓? バーチャル空間を転用? 佐藤可士和のオフィス整理整頓術を学ぶ

世の社会人のみなさん、仕事をしている中で「今日、クライアントに発表する資料がない!!」といったような、危機的状況に追い込まれたことはないでしょうか? 血眼になって山積みの資料の中から探している時、普段から整理しておけばよかった…… と思うことでしょう。

そう、仕事と整理整頓は切っても切り離せない存在です。特にオフィスがものであふれていると、上記のようなトラブルが頻繁に起こってしまうのでは。

そこで『佐藤可士和の超整理術』から、特にオフィスの整理術に焦点を当て、その方法を紹介したいと思います。

そこにあるはず!から生まれるリスクを回避する

shutterstock_254702104 (1)

佐藤氏の事務所である「サムライ」は、オフィスとは思えないくらいシンプルです。ミーティングスペースは、なんと長机に椅子が20個並んでいるだけ。なぜ、こんなにもシンプルなのでしょうか?そこには、佐藤氏が体験した、ある失敗談がありました。

以前勤めていた会社で、資料がなくなり、ここにあるはずと言われた場所を4時間ほど探した。しかし、結局は別のところにあったとのこと。この経験から、独立した時は整理を徹底して行うことを心に決めるのです。

「モノを絞って、すっきりと気持ちがいい環境のなかで、効率的に仕事がしたい」 p.71

この考えは、佐藤氏が空間を整理する際の大前提になっています。どこに何があるのかわからないのに、作業する空間を圧迫している。この状態でトラブルが起こらない方がおかしいです。仕事を優先するあまり、整理することが後回しになってしまいがち。ですが、仕事をする場所を整理することで、効率が上がるのではないでしょうか?

佐藤氏の事務所のように空間を整理していくと、身体でもって状況がクリアになっていく様を体験でき、整理を実感できます。そこでもっと身体に近いものとして、デスクの整理の前にカバンの整理を勧めています。

モノを絞るということで、佐藤氏の持ち物の話をしたいと思います。以前はカバンにいろいろモノを入れていましたが、今はほとんど手ぶらです。オンの日は携帯電話・自宅の鍵・カードケース・小銭くらい。

手ぶらでいると、予想外に解放感を得ることができるそうです。身軽になり、気分までもふわっと軽くなり、無性に歩きたくなります。果たして、カバンの中身はすべて必要か?佐藤氏は問いかけます。

ならば、どうしたらモノを絞ることができるのでしょう?

捨てる勇気を持つための2つの闘い

shutterstock_258411140 (1)

1.「捨てることは“不安”との闘いである」p.81

捨てるという行為が難しい。なぜなら、何が起こるかわからないという気持ちから、モノがたくさんあると人は安心するのです。一度手に入れたモノは、もったいないという思いも重なり、捨てにくくなってしまいます。

しかし、その不安は根拠あるものでしょうか?

旅行ならば、不慮の事態に備えることは大切。ですが、毎日の通勤では不安を感じることはあまりないのではないでしょうか?もちろん、イレギュラーな時はあります、会議があれば資料が必要といった具合に。

そこで、通勤などは絶対不可欠なベースアイテムを決め、その日その日に合わせてそれ以外の持ち物をアップデートするのです。毎日入れ替えることで、自然と必要なものが見えてきます。そうして、いらないと判断できるモノが確定したら、思い切って捨てましょう。

2.「捨てることは“とりあえず”との戦いでもある」 p.86

しかしながら、上記のように一つ一つのアイテムを吟味して、捨てることはなかなか思い切れない…… そんな時は、まずプライオリティをつけてみましょう。

上記のベースアイテムを含め、1位から優先順位をつけます。真剣に考え、順位付けを行います。そうすることによって、そのモノに対する価値観がぐっと明確になっているはずなのです。

また、似たような機能のモノはとことん比較しましょう。例えば、携帯電話とデジカメのカメラ機能。デジカメの方が画素数は優れているが、日常的には使わないので、順位が下がります。

また、社会人ならば増え続けて厄介なのが名刺。優先順位を付けたいけれど、なかなか捨てられない。こんな時は、頻繁に使う名刺以外はデータ化しましょう。実際に佐藤氏の事務所でも、プロジェクトが終われば、名刺をデータ化し管理しているそうです。このように効率的に整理し、必要な時に名刺を取り出せるようにしています。

放っておくと増えていくものを整頓し、デスク周りの最適空間を作ります。

さらに、
・モノの位置を決める→持ち物を簡単に把握でき、モノの増加を防ぐ
・書類や資料は、最新バージョンだけとっておく→過去の紙類はデータ化
・棚のフリースペースを一時避難場所に→その場で整理できないものを避難

といった方法も用いることで、作業するための机という空間を生み出すことができます。

データをファイルでまとめるように、オフィス空間もまとめる

shutterstock_16852132 (1)

最後にこれまでの集大成として、佐藤氏のオフィス空間の整理術を教えます。オフィス全体の共有空間は、リアルコンピューターサーバーのように、モノは全てフォルダ形式で整理しています。ネット上では、違うタイプの情報が同じフォーマットで統一されています。そこで“同じ種類のボックス化”を考えついたそうです。まさにバーチャル空間を転用した、オフィス整理術です。

「空間の整理は、フレームの形状を決めて入れ子構造にするとコントロールしやすい」 p.110

世の中のものはフレームが決まっていないから、扱いにくいと感じます。故に、ボックスというフレームを設定することで、見た目は驚くほどすっきりします。結果、全体像が把握でき、情報の共有化も図ることできます。

このフレームを決める前に、ビジョンを見つけましょう。ビジョンとはあるべき姿でもあり、最大パフォーマンスが発揮された理想的な状態のことです。
さらに、ビジョンを決めるためには視点が必要です。空間の整理の場合はいつまでに捨てるといったような時間軸です。

視点を定め、ビジョンを見つけ、フレームを決める。この流れで、空間の整理を行ってみてください。

身をもって整理整頓を実感して、見えてくるもの

shutterstock_340152863 (1)
「机は何のための場所なのか?」 p.88

机はあくまでも作業する場です。だからこそ、机に紙の資料があふれていると、ストレスやトラブルの危険性、非効率を感じてしまうことでしょう。

いくら書類を整理してもモノとしてあふれていると、窮屈に感じてしまうのは避けられないかも知れません。そこで佐藤氏は、紙類はなるべく最終バージョンだけとって置き、それ以外はデータ化するか捨てるようにしています。

いきなり捨てるのが不安な方は、オフィス複合機のスキャン機能や、量販店で購入可能なスキャナを購入し、紙を電子データとして管理するところから始めてみては。”紙”が無くなる気持ちよさを実感してみて下さい。山積みの紙の中から資料を探す日々と、おさらばしましょう。