付箋とペンを持って集合!“付箋会議”で社員の仕事を「見える化」

会社や組織において、上司、マネジャーが抱える課題はたくさんあるかと思います。おそらく、頭を悩ますものの一つが、チーム内のタスク管理。特に「部下やメンバーの仕事量、業務の進捗が把握できていない」といった意見は多いのではないでしょうか。業務の可視化と呼ばれる課題です。

組織の力を最大限に発揮するために、また、チームの一人一人が効率よく業務を遂行するために、「部下たちの業務を“見える化”したい」そんな世の上司たちの願いを、誰もが知っている身近なあの紙、「付箋紙」が叶えてくれるかもしれません。この「付箋」を使った、簡単に真似できるテクニックをご紹介します。

“見える化”のために、付箋を使った15分の朝会を「やってみた」

fusen1

付箋を知らない人はいないでしょう。文具店はもちろん、コンビニなどでも簡単に手に入ります。もしかしたら、オフィスの備品として、すでに置いてある会社も多いかもしれません。他に必要なのは、付箋を貼るための白い下地となる大きなボード。最初は項目などを書き直せるホワイトボードが最適でしょう。壁に貼れるなら、真っ白な模造紙1枚でもいいでしょう。

では早速、付箋を使って月曜日の朝会を始めてみます。ホワイトボードにタテヨコに線を引き、ヨコ軸に月〜金の曜日を、タテ軸にチームメンバーの名前を書きます。上司を最も上にした方が基本的に運用しやすいです。これでボードはチーム内の簡単なカレンダーになります。
fusen2

次に、一人一人が1週間の業務を付箋にひたすら書き出します。一つのタスクは一つの付箋に記入します。最終的な“見える化”が大事なので、できるだけ大きな文字で書きましょう。終わったら、業務のバランスや緊急度を考え、カレンダーに貼り付けていきます。

ここでは社内の営業チームを例にとって考えます。「社外向けの業務」と「社内での業務」で付箋の色を変えると、より“見える化”できるかもしれません。

fusen3

初めて作る時は多少時間がかかってしまいますが、慣れてしまえば簡単です。付箋が貼られたボードを見ながら、一人ずつ簡単に1週間の仕事の流れを発表していきます。すると、「この業務はまだ急がなくていい」や、「この日は余裕ができそうなので、他のメンバーのフォローができる」など、業務や日程の見直しが入るはずです。その際は、付箋の場所を張り替えることで、簡単に修正できます。

後は、このボードをデスクから常に見える場所に置き、業務の可視化を図りましょう。撮影して保存すれば、議事録代わりにすることもできます。

当然、業務が完了したものは、その都度、対象の付箋を剥がしていきましょう。前倒しで取り掛かった業務や、翌日に繰り越してしまったものは、翌日の朝会で報告することで、チームの業務バランスを整理することができます。

fusen4

【ポイント】
・朝、始業直後に行う
・ボードの前で全員が立って行う
・内容は端的に、わかりやすく書く
・制限時間(15分間など)を意識
・上司によるフィードバックは端的に!相談や検討が必要なものは後ほど個別に行う

アイデア出しが加速する。付箋を使ったブレストを「やってみた」

fusen5

もう一つ、付箋を使うと効果的なものが、企画などの作成のために複数のメンバーが集まって意見やアイデアを出す会議。ブレインストーミング(Brainstorming)、略して「ブレスト」と呼ばれます。ブレストの大前提は、とにかく意見、アイデアを多く出すこと。つまり、「否定」や「検証」は一旦考えずに、質より量を意識することです。

この前提があるからこそ、付箋が役立ちます。意見を「口に出して」書き込んでいくよりも、「紙に書き出して」貼り付けていった方が、生産性を高めることができるのです。しかも、複数人で取り組むことで他の意見やアイデアを見ながら新たな発想が生まれる効果も期待できます。

実際にやってみましょう。例として、誰もが想像できるテーマ、「飲食店の経営」の改善点を探るブレストを行います。付箋の他には、やはりホワイトボードを用意します。意見を書き出す前に、事前に想定できるグループ分けを行っておくと、グッと内容を整理しやすくなります。まず想定した課題の方向性として「料理、集客、内装、接客」の4つをボードに書き込みます。

fusen6

あとは、思いつく限りの意見付箋に書き出し、適切だと思うグループのエリアに貼り付けていきます。上記したように、否定や検証を考えないことと、他の意見も十分に参考にして自分の発想に生かすことを意識しましょう。

付箋ですので、あとから別の場所へ貼り直すのも自由自在。グループ分けも悩むぐらいなら、まずは適当に貼り付けましょう。付箋の色分けに関しては、「すぐに実施できるもの」と「実施に時間がかかるもの」で分けるなど工夫できます。

fusen7

一通り意見が出尽くしたら、全員でグループ分けの再考や、意見のチェックを行いましょう。ホワイトボードですので、気になったものを丸で囲むなど印をつけていくとさらに整理できます。

こちらも、最後は撮影して残しておきます。会議に参加していないメンバーにも、この画像1枚で簡単に情報共有することができます。スマホなどモバイル端末でホワイトボードを撮影する場合は、EvernoteOffice Lensといったアプリがオススメです。紙文書やホワイトボードの角4点を認識して撮影するので、簡単にキレイに保存することが可能です。

fusen8

【ポイント】
・ボードの前で全員が立って行う
・内容は端的に、わかりやすく書く
・書き出す時間での会話は必要最低限にする
・誰が意見を出したか、いい意見かという評価はしない

大企業でも人気の付箋会議。工夫次第で個人での有効な利用法も

fusen9

何ついて議論するのか、何を決定するのかといった目的が明確になっている会議では、付箋を利用することによるメリットが多いのかもしれません。机を囲み座って行う会議に比べ、話が脱線しづらく、全員が積極的に参加できることが最も大きい効果かもしれません。

こうした付箋の利用は、日産自動車やキヤノンといった大手企業でも、小中グループでの会議やアイデア出しの場面で実践されていると言います。小さな付箋紙を使えば、グループ単位ではなく個人レベルでの“業務の見える化“も図ることができます。

環境への意識、もしくは昨今のIT技術の発展によって、オフィスの“紙“削減を進める企業が多い中、昔から事務用品として親しまれる付箋はまだまだ存在感を放っているようです。

付箋会議を通して見えてきた。会議の本質と“ファシリテーション”の重要性

IMG_9705 (1)
必要なアイテムも少なく、簡単にできる付箋会議を「やってみた」例を2つ、ご紹介しました。こうした付箋会議を通じて「会議とは何か」が見えてきたのではないでしょうか。

会議とは、上司やマネジャーなどの“独演会”であってはいけません。参加者の知恵を絞り、多くの意見やアイデアを集約しながら結論へと導き、実行に移していくためのものです。そのために重要になるのが「ファシリテーション」の考え方です。

【ファシリテーション】(英: Facilitation) 会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協同を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。 −Weblio辞書−

“ファシリテーター”は参加者それぞれの強みを理解し、活用することが重要です。良いファシリテーターは参加者に「意見の整理をさせる」ことができます。解決すべき課題、向かうべきビジネスの方向性について、議論に必要なメンバーを選定し、時にはプロジェクトの中心ではないメンバーの経験や知識も利用することで、有意義な会議を生み出すことができます。

会議のあり方を見直すことができれば、従来の「私の仕事」「私の成果」は「チームの仕事」「チームの成果」と変化し、組織として大きな成果に繋げて行くことが可能になります。

「付箋」。この”小さな紙”を活用することで、チームの働き方を変え、成果に繋げていくことができるかもしれません。