企画書も資料もA4一枚で十分!ソフトバンクを支えた三木雄信氏に学ぶ『A4一枚仕事術』

例えば、こんな場面はありませんか。

数ページにわたる会議資料を徹夜で仕上げ、会議本番でその資料を読み上げる。そして、それを聞き終わった上司から一言。

「結局、何が言いたいの?」

これは典型的な悪い会議の例です。この一連の流れを作っているとも言える原因の一つは間違いなく「数ページにわたる会議資料」です。「話し合う」ことが重要な会議において、長過ぎる資料は論点が見えづらくなり、また資料を用意する人にとっても大きな負担になります。

議事録、企画書、報告書。会社にはその他にも多くの書類が存在し、私達はその書類から必要なデータや情報を取り入れながら仕事をしています。ビジネスを進めるために必要な情報量そのものが増加してきていることも背景にあるでしょう。そして、情報量が増えたことによって、それらを正確に把握し、整理するスキルが求められています。

今回のテーマは多くなってしまった情報を整理する技術。三木雄信氏の著書『「A4一枚」仕事術』から、資料をまとめる際のコツを抑えていきます。

人間が一度に把握できる情報には限界がある

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三木雄信氏はソフトバンクで孫正義氏の右腕として活躍し、現在はご自身の会社を運営されています。ソフトバンクは設立当初から大企業だったわけではありません。リソース不足が常の小さなベンチャー企業でした。そんなソフトバンクを支え、大きく成長させた大きな要因が三木氏のA4仕事術です。三木氏によると、A4一枚にまとめることが仕事もプライベートも何もかも上手くいく秘訣だといいます。

人間が一度に把握処理できる数は、7±2までといわれています。

「7」という数字はマジックナンバーと呼ばれ、人間の脳が一度に把握できる数だといわれています。この『「A4一枚」仕事術』の中では、非常にわかりやすい例があげられています。

たとえば、机の上に硬貨が数枚置いてあったとしましょう。普通の人が、その数をパッと一目で確認できるのは7枚程度ということです。

どんなに情報を提示したところで、人間の脳が把握できる数には限界があり、それを越える情報が入ってくると脳は混乱してしまうといいます。A4用紙には必要以上のことを記入する余裕はなく、結果的に盛り込む情報は必要最低限のものになります。また、目線を軽く動かすだけで見える範囲を「注視安定視野」といい、A4用紙はこれに収まっているといいます。

A4にまとめた書類は、職場全体の効率化につながる

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三木氏の仕事術では、どんな書類もフォーマットに沿って行われているそうです。そして、そのどれもが「目的」「するべきこと」「期限」を明確にします。これらをチームで意識的に行うことで、効率的に仕事が進められるといいます。

もしも、ある会議での目的が「新商品について」という漠然として不明確な議題であったら、参加者の一人ひとりが皆少しずつ違う認識で議論をしてしまう可能性があります。(中略)この場合なら、「新商品の投入の是非について」というように、目的をより具体的に設定するのです。

会議では、議題を明確かつ具体的にしておくことで、参加者の意識が議題から外れにくくなり、議論が脱線した場合でもすぐに気がつくことができます。内容の濃い議論をすることは、成果につなげるための第一歩といえるでしょう。

『「A4一枚」仕事術』で想定されている働き方は、常に仲間と協力しながらプロジェクトを進める方式であることがわかります。複数人でのプロジェクトを進める時に意識すべき点は多くありますが、三木氏はこれらを科学的に、また論理的に分析した上で「A4用紙」という枠内に落とし込んで実践しています。

実際に記事をA4一枚にまとめてみる

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ここで実際に、過去のエントリー「技術の進化に乗り遅れるな!働き方を変えることは、今の時代に必要なスキル」をまとめてみましょう。こちらは、例を挙げながら主題を繰り返し主張する「スピーチ形式」と考えられるので、『「A4一枚」仕事術』の中から「スピーチシート」のフォーマットを参考に作成しました。

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A4でも必要最低限に重要な要素を抑えることができているはずです。では、この書類を作成する際に注意すべきポイントを挙げていきます。

① 主題を明確にする

発信者にとって最も伝えたいことが主題です。このシートにおける「いいたいこと」が主題にあたります。ここで主題を明確にしておくことがなにより重要です。主題が明確でないと、受け手は何の話かわからないまま話を聞くことになり、内容の理解に時間がかかってしまいます。さらに、これから展開する話が主題に沿わなくなる可能性があり、受け手に訴えかける力が弱くなります。

② 5W1Hを意識して話を展開する

次に、主題を支えるデータや事例を「展開」の欄に盛り込みます。これらを記入する際には、5W1Hと呼ばれる「When」「Where」「Who」「What」「Why」「How」を意識して書くと、明瞭かつ簡潔な文章になり、受け手の理解を助けます。著名人の格言や経験則は、より主題を支えてくれるデータになるので、できることなら取り入れるとよいでしょう。

③ 最後に主題を繰り返してまとめる

展開した話題のまま話を終えてしまうと、取り留めの無い話になってしまいます。最後に「置き換え」をして主題を繰り返すことで、まとまりのある話になるのです。ここでは主題の内容をふまえて、実際にどうしていくのかを書き込むと、聞き手にとっても説得力のある内容になります。

書類をA4一枚に収めるだけで働き方は変わる

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高度に情報化された社会では、日々触れる情報が多すぎるために、アウトプットする情報も多くなりがちです。他人に何かを伝える際は「どうすれば伝わりやすいか」を考えながら話すはず。それは紙面でも同じです。自分にとって作りがいのある書類ではなく、相手のことを考えた書類を作ることを意識すべきでしょう。

A4一枚で伝わる書類を作成できれば、紙の無駄遣いがなくなるだけでなく、働き方、さらには仕事の成果まで変えることができます。資料作成に頭を悩ませているなら、情報を整理し、まずは少ない枚数にまとめてみることを心がけてもいいかもしれません。