コストがコストを生んでいる。紙から働き方を変える【領収書・精算書編】

重要性は認めつつも、おそらく誰もが負担と億劫さを感じている経費精算業務。

経費精算は過去の情報を紙やエクセルにまとめあげる作業のため、再検索や再確認といった作業が頻発し、肝心の業務の効率に影響を及ぼしかねません。株式会社コンカーが今年3月に実施した「サラリーマンの経費精算に関する実態調査」によれば、サラリーマンが経費精算申請に要するひと月の作業時間は平均48分(生涯日数では52日)。人件費に換算すると、一人当たり144万円のコストが発生しているとのこと。

また申請者からデータを受け取った経理担当者は、内容のチェック、集計、仕訳、入力等、毎月、膨大な作業と対峙することに。これらを会社全体で見ると、時間的にも人手の面でも多大なコストがかかっています。

見方を変えれば、これら領収書や精算書にかけるコストを削減することで、全社的に効率性が向上し、従業員の働き方自体も変化してワークライフバランス改善につながるはず。その手助けとなる電子化について解説します。

領収書と精算書、それぞれの役割

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毎月の経費精算といえば誰でも連想するのが、精算書の記入と領収書の添付。当然の事務作業として割り切ってこなしがちですが、そもそもこれらの書類はなぜ重要なのか整理しておきましょう。

領収書

領収書は、商品やサービスの授受に対し、確実にお金が支払われた事実を証明する文書です。領収書の役割は大きく2つあります。

・商品やサービスの代金を支払ったことを証明するもの
・支払った代金を再度請求されることを防ぐためのもの

これらの機能を果たすため領収書は下記の項目から構成され、いずれの欄も明記するよう定められています。

①日付:領収書発行の日付の記載は必須。
②会社の名称:領収書を受け取る会社の正式名称。
③金額:改ざんができないようにするためのルール遵守が必要。
④但し書き:何に対する支払いなのか明記が必要。
⑤印紙:5万円以上の領収書は収入印紙が必要。
⑥領収書を発行する側の住所と氏名

なお近年のレシートは、日付や金額に加え品目の詳細まで印字されているので、領収書よりむしろ信用性が高いと言われることもあります。税務調査でチェックの対象になりやすい高額の品を除いては、,b>発行者、発行日時、取引内容、金額という4項目がしっかり記載されていれば、レシートでも領収書の代わりになると考えて問題ありません。ただし印字が日光で劣化するおそれがあるので、保管方法や保管場所には注意が必要です。

精算書

精算書は立て替えたものなどを一覧にして会社へ精算を求める書類です。日付、内容、金額、支払先に加え、承認印欄などが設けられています。これに添付する領収書類は、後で見やすく探しやすいよう、通常は日付順に並べて白紙にノリ付けします。また領収書を紛失した場合やレシートなどの取引記録が手元に全く残っていない場合は、出金伝票で代替できるとされています。必要事項(支払日、支払い内容、金額)を記入し、契約書や納品書などの証拠書類と合わせて保管しましょう。

領収書と精算書の電子化はストレス・労力の軽減に。

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冒頭でも記したように、膨大な領収書や精算書の管理は関係者の頭痛の種であり、最近では、経費精算のシステム化(クラウドサービスなどの経費精算システムを使用し経費精算業務をIT化すること)が進んでいます。これにより、従来、紙やエクセルで行っていた交通費の申請や、上長の承認、そして経理部門での申請チェック・差し戻し、仕訳、会計ソフトへの入力や振込手配などがすべてシステム上でできるようになります。

システム導入によるメリットとして「業務の効率化、ひいてはコスト削減」が挙げられますが、さらに具体的に見ていきましょう。

従業員にとってのメリット
・電子化により領収書紛失のリスクを防ぐことができる
・申請内容によって異なる承認者や承認経路が分かり、煩わしい確認の手間が省ける。
・煩雑な小口申請に経理管理ツールを利用することで、精算書の記入に費やす時間を減らすことができる。記入漏れミスを防ぐ効果もある。
・パソコンの他、スマートフォン等でシステムにアクセスでき、簡易な入力フォームや領収書の画像送信等により精算を申請できる。社外であっても申請作業が行えるため、手間が大幅に削減。
経理担当者にとってのメリット
・従業員それぞれが入力した情報を一元的に管理できる。同じ内容を再度手入力する必要がないため、ミスの防止に効果的。経理清算に費やす時間を削減でき、残業時間減少など業務の効率化につながる。
・膨大な書類管理の煩雑さが解消し、作業のストレスから解放される。
・クラウドでオープンな状態にすることで、社員1人1人にコストを意識させることができる。社内のお金の流れの透明化が増し、社内全体のコスト削減につながる。
・システム上でタイムリーに申請が行われるため、申請内容の検証がしやすい。また、システムによって承認作業の精度が増すことで、不正の機会が大幅に減少。交通費については、地図ソフトや経路検索ソフトと連携することで、瞬時に適正さを検証できる。

経費精算システム選択のポイント

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このように従業員・経理部門双方の観点から大きな助っ人として導入効果が期待される経理清算システム。しかしITシステムを導入したものの、そのITに人間が振り回される結果になっては元も子もありません。最適なシステム導入のため、選択の時点で着目すべきポイントをまとめました。

システムの対象ターゲットが自社と合っているか

経費精算システムは、中堅・中小企業向けのパッケージソフトウェアから、大企業を対象とした多機能型の経費精算システムまで多種多様。やみくもに飛びつくのではなく、自社に必要な機能を見定め、導入目的を明確にしてシステムを選定する必要があります。その際には、以下のことに留意すると、スムーズに選定できるでしょう。

・今の経費精算にかかっている時間、予算を洗い出す。
・経理担当者がどのようなことで困っているのか把握しておく。
・経費精算システム後にどのような成果を出せば成功と呼べるのか、目標をあらかじめ考えておく。

カスタマイズできるかどうか

自社に最適なシステムに改変できることは、使い勝手の面で重要な条件となります。

例えば、申請の流れを金額によって自動で振り分けたり、社員ごとの定期区間を登録すると定期区間が含まれた経路を検索した時に自動で控除したりといった機能が挙げられます。

機能が独立系か、他のサービスと連携ができるかどうか

経費精算だけではなく、会計周りの機能も付いた総合的なツールもたくさんありますが、機能が単一の方が使い勝手はよいでしょう。また自社の既存システムと連携できるとより便利なので、連携して導入ができるかどうかを確かめることも必須です。

煩わしさから脱却し、価値の高い業務へシフトする

経費精算業務のシステム化については、投資効果が数値的に見えづらいことから、導入をためらう企業もあるようです。しかし「経費精算に関するアンケート調査」(マネーフォワード/2016)によれば、従業員1人あたり経費精算業務にかける時間は月平均1時間。4人に3人がこの作業を「煩わしい」と回答しています。

参考:http://corp.moneyforward.com/survey/expense_survey/ 

領収書や精算書といった、働く上でのツールである書類に常に“煩わされ、その対応に本来の業務以外の多くの時間を割いてきた従業員。電子化によって余分な仕事から解放されれば、生まれた時間でプランニング・企画作業や接客など付加価値の高い業務へのシフトが期待できます。更には、残業時間の短縮、自己投資などワークライフバランスの改善効果も望めるでしょう。まだ約8割の企業が紙・エクセルでの経費精算に依存しているのが実態(2012年時点、ラクス社調べ。https://www.rakurakuseisan.jp/news/news121031.php)ですが、経理作業の効率化により、従業員の働き方のあるべき姿を模索することも重要でしょう。

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