名刺管理で「紙の山」を「宝の山」へ。紙から働き方を変える【名刺編】

世界中で年間100億枚もの交換がされている「名刺」。 ビジネスパーソンにとって必須アイテムの名刺は、91mm×55mmという小さなカードでありながら、「誰と会い、仕事をしたかのログ」として重要な役割を果たします。同時に、活用方法によっては商談創出や取引先拡大につながるキーでもあり、「宝の原石」と例えることができます。

しかし一方で名刺交換の回数が増えるほど、何かの折、目的の1枚を見つけ出すのは困難に。かといってしまい込んだままでは文字通り「宝の持ちぐされ」です。

このように扱いが難しいものの、方法次第では、人脈の有効活用に、ひいては働き方の効率性アップにつながる可能性を秘めた名刺。その意義と上手な管理の仕方について解説します。

歴史から学ぶ名刺の重要な役割とは?

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名刺とは「自分の情報を相手に伝えるスモールアイテム」。その役割は次の3点です。

①正確で分かりやすい自己紹介

名刺は、自分に関する最も基本的なデータ(「氏名」「身分」)の紹介です。

②仕事円滑化のために必要な情報

社名、役職、勤務地、連絡先など多くの重要な情報が記載されている名刺。これなしで商談や面談を行うとすれば、互いの情報交換から始めることを余儀なくされ、本題に入るまでに相当の時間がかかってしまいます。

③人脈づくりのツール

自分の業務に活かせる人間関係を求めて様々な勉強会やセミナー、異業種交流会に足を運ぶビジネスパーソンも多いことでしょう。名刺はコミュニケーションツールとして人脈形成の貴重な第1歩となります。

この中で特に③の機能は古くから重視されてきました。 名刺の発祥は紀元前2世紀の中国といわれますが、コミュニケーションの道具として考えるとその歴史は、まだ人類に言語が確立していなかった原始時代に遡ります。当時、初対面の相手に対しては、まず石を置いた上で遠くへ離れてそれを見守りました。相手が同じように石を自分に向かって置けば、敵意がないものとしてコミュニケーション成立となったとのこと。その後、名刺は、唐の時代には訪問時の留守人に対する書き置きとして機能、17・18世紀のヨーロッパでは社交界のアイテムとして活躍しました。そして現代では社会人の挨拶代わりに。時代と国を越えて、名刺は古くから「人と人を繋ぐ役割」を果たしていることが分かります。

このように古代からコミュニケーションツールとして機能してきたからこそ、名刺交換の際にはいくつかのタブーが存在します。礼を失しないため再確認しておきましょう。

・受け取った名刺を落としたり汚したりする
・受け取る時、相手の会社のロゴの上に指を置く
・名刺入れ以外の、例えばポケットや財布から直接名刺を取り出す
・折れ曲がっている名刺、汚れのある名刺を渡す
・先方から出された名刺を片手で受け取る
・先方から受け取った名刺を話しながら手で弄ぶ
・先方から受け取った名刺の裏をメモ代わりに使う
・受け取った名刺を机の上に忘れて帰る

名刺管理に割くリソース(労力と時間)の現状

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これまで見てきたように、名刺はその人の「分身」とでもいうべき物。渡された名刺には人脈やビジネスの可能性が眠っています。だからこそ活用することに意味があり、そのためには日頃の管理体制が重要です。換言すれば名刺管理の目的は、いつでも必要な際にすばやく情報を検索できるように保つことです。

問題は、日々膨れあがっていく名刺の山に埋もれ、肝心の時に欲しい情報をなかなか探り当てられないこと。

株式会社Sansanが2015年にビジネスパーソンを対象に実施した「ビジネス名刺実態調査」によれば、下記の結果が示されています。

・今までに受け取った名刺数は 平均1,383枚
・“名刺探し”にかけている平均時間は「年間約20.5時間」
・名刺を1枚探す時間は平均6分で、1週間のうち名刺を探す回数は平均4回

様々なビジネスツールのデジタル化が進む中で、名刺という小さなカードの整理に苦労している様子が伺えます。名刺はあくまでコミュニケーションのための「道具」でありながら、日々の営業業務が名刺探しに振り回され効率性に支障をきたしているのが実態です。

参考:http://jp.corp-sansan.com/meishi/2015/120511383_2015.html

名刺の管理方法を比較して見えてくるもの

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上記Sansanの調査では78.9%がアナログ管理、すなわち「名刺ファイルやホルダー、ボックス」を活用していますが、満足度は47.5%にとどまっています。一方、デジタル管理を行っている回答者の83.3%は満足と答えました。ここで、一般的な名刺の管理方法とメリットデメリットを比較してみましょう。

1.ファイリング

名刺交換の頻度が少ない、デジタル管理におけるセキュリティ面での不安を払拭できないといった方にお薦めです。ただし検索ができず、ある程度の枚数が溜まると探すのが大変になるという欠点があります。

2.名刺管理アプリ

2016年10月現在、40以上のアプリが登場し、しのぎを削っています。いずれのアプリも、大量の名刺から目的の相手を探し出したいときや、外回りの多い営業担当者が外出先で部署や連絡先をすぐ知りたい場合などに好都合。 ただしすべての名刺を一挙にデジタル化しようとすると、手間がかかり挫折しやすい。また入力洩れを防ぎきれなかったり、同姓同名の相手を検索する際につまづいたり、といったデメリットがあります。

参考:http://app-liv.jp/business/customers/0511/?cur_page=3

3.企業として名刺管理を行う法人向け名刺管理サービス

従来、名刺といえば個人的に管理するものでしたが、名刺を会社の資産として考える企業も漸増。一元的、全社的に名刺管理していこうという兆しが見え始めています。 (株式会社サンブリッジが今年6月に実施した「名刺の個人管理の実態調査 」によれば、企業での名刺管理導入は10%) メリットとして、自分以外の人が誰と接点を持っているかが分かる点があげられます。これによって、企業の持つ全体的な人脈が可視化され、また常に活用できるシステムになっているため、日常の営業効率を高めることができます。

以上を整理すると、アナログ名刺管理では個人個人の名刺の整理方法が重要、デジタル名刺管理ではデータ管理がより重要です。どのようなアドレス帳が必要で活用したいかをイメージして、目的に合った方法で名刺管理をしましょう。この際、名刺情報の修正や確認に過大な時間を取られるようでは、「仕事のツールのための仕事」になってしまいます。本来の業務に注力するためにも、名刺管理方法の適切な選択とそれによる業務の効率化を念頭に置くことが大切です。

参考:https://www.sunbridge.com/news/meishi_report/

名刺管理ツールのメリットと将来性

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今月17日には名刺管理サービス会社Sansanと帝国データバンクとの包括業務提携締結が発表され話題を呼びました(日本経済新聞同日付)。これは名刺情報データベースと企業情報を連携させ、ビジネスパーソンの営業活動を効率化させることが目的。このように、名刺という紙の山を企業単位で管理し、資産として活用していく潮流は更に勢いを増していくものと考えられます。今後が期待される名刺管理サービスの特徴を具体的に見てみましょう。

・社名や氏名だけではなく、さまざまな切り口で検索が可能。思いつく情報ですぐに名刺情報を検索できるため、探す手間が大幅に減少。
・名刺交換した相手に対し、定期的に自社を紹介するコンテンツ(メール配信やメールマガジン、会報誌など)を一括で情報配信することによりリレーションを構築でき、営業機会創出、取引先増加、売上拡大を図ることができる。
・人脈の可視化。部署を越えて横断的な情報共有が可能。
・名刺情報の重複を防ぐことができ、無駄が削減。
・営業の移動連絡や顧客情報の引き継ぎの手間が軽減。
・外出先で顧客情報を参照できるため、空き時間を用いての顧客訪問等、時間の有効活用が可能。

これらの特徴から分かるように、従来の「紙の山」という名刺の束により従業員1人1人の負荷を大幅に軽減。名刺の内蔵記録は社内で共有され、人脈の有効活用が可能となります。言い換えれば、営業活動に付随していた名刺管理のストレスから解放され、本質である業務に専念することができ、時間の有効活用が実現されます。社員の働き方に大きな転換が生まれるでしょう。

名刺はデジタル化の恩恵を最大限受けられる

進むペーパーレス化、デジタル化により、名刺の管理方法も従来のファイリングから変容しようとしています。社員は、これまでのように名刺の束を持ち歩く必要がなくなり、「メタボな」名刺入れと決別。労働の内訳としても、名刺管理に注ぐ作業時間を減らし、本来の業務へ注力することができるようになります。

また、より大局的に名刺を会社の資産ととらえ、一元的に管理する方向へ舵をとる企業も増加しています。これにより、これまでデータ入力に追われていた社員も含め社内全体が名刺管理業務という煩わしさから解消され、気持ちよく仕事できる環境整備が進むと同時に、営業力強化ひいては生産性向上に寄与することが期待されます。

名刺という紙の山は、限りない可能性を秘めた「宝の原石」の山です。磨きをかけるため、社内の名刺管理体制を見直す価値がありそうです。

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