シリコンバレーに移住し働くChatWork社代表取締役山本敏行氏が語る「私が紙を嫌いなワケ」

前回、「究極のペーパーレス会議!?全く紙を使わないChatWork社の会議を覗いてみた」で、ChatWork社にてペーパーレス会議を目の当たりにしました。そして常務取締役 山口さんにチャットワークが可能にするペーパーレスな働き方について、お話を伺いました。

今回はなんと、チャットワークを使ってシリコンバレーで働く代表取締役・山本敏行さんに取材を敢行!

開始から「紙は大嫌いですね」と切り出した山本さん。そのキャリアを辿れば、なんと「紙を使ってビジネスしたことがない」とも。

果たしてその言葉の真意とは。

21歳のときに米国で起業。「そもそも紙を使ってビジネスしたことないんですよ」

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▲ChatWork Liveでのビデオ通話画面

—本日はよろしくお願いします。社内の様子を見ても、特にペーパーレスな働き方にこだわっているように見えます。こうした姿勢はいつからなのでしょうか?

山本:最初からですね。2000年に起業した時から会社には紙と電話がありませんでした。私はまだ学生で、ロサンゼルスに1年間留学しているときだったんですが、アメリカから日本の中小企業向けにビジネスを始める上で、WebサイトとEメールでしかお客さまに接触する方法がなかったんですよ。紙は一切使わなかった。そこから始まってそのままのスタイルを続けているだけなんです。

—そのやり方で、ずっとビジネスを展開できたのですか?

山本:アメリカにいる時は、「できた」というより、それしか手段がなかった。それと、僕自身が21歳で起業して、会社に勤めたこともなければ、営業の仕方も電話の取り方もわからなかった。だから今でも他の会社に転職できませんね(笑)。それでも当時から「できる」とは思っていました。

—なるほど。それほど徹底していて、今日まで苦労したことはないのですか?

山本:苦労したかどうかも、今ではわからないんですが、あるとしたら「売り上げを捨てている」ということですかね。

—!? それは会社としては問題なような……

山本:例えばですが、リアルでお会いした経営者に「あなたのとこに発注するわ」って言われても、「じゃあ、Webサイト行ってください」って言ってしまうんです。相手は「え!?」って(笑)。きっと「わかりました!今すぐ見積もりと請求書送らせてもらいます!」っていう反応を待っているんですよね。

だから、もしも我々が対面での営業をしていたら、もっと単価が高くて、何十万、何百万のビジネスができたのかもしれない。でもそれは捨ててきた。これはデメリットかもしませんね。

でも、その代わりに「いいものを安く提供することで利益を多く取りにいく」と信じたんです。「スケールさせるビジネスしかやらない」というのも私のポリシーなんです。

—そのためには、リアルでの営業やビジネスで紙を使うことは要らなかったということですね。

山本:はい。仮に1社1社請求書を切っていたらそれだけで時間がかかってしまう。請求書の発行も、毎月の入金チェックも関係ない。そういう状態まで持って行きたかったんです。それで今のビジネスになっています。

紙は、検索できない。場所を取る。印刷しなくてはいけない。

—ビジネスを始めたそもそもの体験が、紙の文化を触れないところからスタートしているんですね。

山本:そうですね。今でも、紙の資料持ってきたら見ないですし、パンフレットもほとんど受け取らない。とにかくデータでもらうようにしています。どうしても、と紙の資料を受け取ったとしてもすぐにスキャンして、原本は捨てるようにしています。紙で残すことはまずしていませんね。

会社として、年賀状も送っていません。紙だから(笑)。でも、「年賀ページ」は毎年作っていて、過去のページも見られるようになっているんですよ。

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例えば、これが2011年の年賀ページですが、テーマは「グローバル展開」。これはチャットワークをリリースする前ですね。年賀状じゃないんで「1月からこんなことやっていました」という報告をしたり。あとは「スタッフにメッセージください」というインタラクティブなこともできるんです。

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2012年になると、「代表の山本がシリコンバレーに移住します!」とかも書いてますね(笑)。とにかく紙は「探せないし、検索できない」ので仕事にならないですね。しかも「場所を取る」上に「印刷しなくてはいけない」。なので大嫌いです!

—現在は、そのシリコンバレーで働いているかと思うのですが、そこでの紙の使われ方はどのようなものですか。

山本:シリコンバレーはじめ西海岸でいうと、「ハンコがない」ことが大きいかもしれませんね。全てクラウド上での契約書でビジネスが進んでいきます。署名はマウスでサイン書いたりしてますね。アレ、なかなかうまく書けないんですけどね(笑)。

日本では、請求書なんかは紙で届きますよね。こちらでは企業間のやりとりで、そもそも紙は使いません。

—そうですか。では、移住して働き始めた時もその文化に抵抗を感じることはなかったのですか?

山本:そうですね。ペーパーレスな文化に関しては「だよね」という風に見ていました(笑)。

ペーパーレスに働く上で、気をつけるべき紙の「使い分け」

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—紙は全く必要ないという考え方でやっていけるのものですか?

山本:いえ、使い分けですよね。お客さまに合わせるという意味で、必要な時はあります。しかし、我々の社内の案件情報の管理などはペーパーレスで徹底しましょうっていうのが、使い分けです。

「ペーパーレス」という言葉の響きだけだと、何でもかんでも紙を捨ててしまうような印象がある。例えば、「リモートワーク」というキーワードが流行り始めたら「みんな在宅にしよう!」と、極端な方に進みがちなんです。

ちなみに我々は完全にリモートワークできるツールを使っているのに、在宅ワークは原則禁止という会社なんです。ただ風邪引いたり、台風が来たりした時、あとは地方で両親の面倒見なきゃいけない場合などは、完全に在宅ワークを認めています。原則は一緒にいた方がいいけど、在宅で働くことも認める。使い分けが大事だと思うんです。

その上でペーパーレスに関しては究極な形を目指している会社だということです。

—なるほど。極端ではないという部分で、社内でこれには紙を使っている、という文書はありますか?

山本:それでいうと「表彰状」ですかね。何でしょう、よく言われるんです。「チャットワークさんって社内も全部チャットで会話してて、実際にはすごく無言なんでしょ?」って。これには反論したい(笑)。

人と人との温かみあるコミュニケーションはちゃんと取りたいんです。だからこそ、それ以外の部分をできる限りデジタルでやりましょう、という考え方があります。口頭でのコミュニケーションはガンガンやってほしいし、希望者には飲み会を支援したりもしているんですよ。

やっぱり「使い分け」ですよね。手書きの手紙で仕事していてはダメですが、何か想いを伝えるときには、汚い字でも手紙に書いた方がいい。「心や気持ちを渡したい時は紙も使う」ということです。これ、大事なことなんでぜひ記事に使ってください(笑)。

—わかりました(笑)。本日は、ありがとうございました!

世界を目指したその時、紙は必要なかった

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ChatWork社は、チャットワークがビジネスのコミュニケーションとして当たり前のように使われている世界を目指しているといいます。アメリカ留学中に起業を経験した山本さんが世界で戦うことを前提にしたビジネスモデルの下で、その目標に突き進んでいます。

今回はChatWork Liveという機能を利用し、いとも簡単に、シリコンバレーと東京のオフィスをつないでお話を伺いました。同時にデータや資料も送ることができます。そう、紙では絶対に超えられなかった時間と距離を超えているのです。

ChatWork社の働き方、そして目指す未来が教えてくれました。

世界に羽ばたくために、紙は要らない、と。

取材協力:ChatWork株式会社