その業務、本当に必要?「クラウド化」をテーマに、働き方を見直す

クラウドを活用したサービスは、一昔前のパソコンやインターネットのように急激に広まり、現在の私たちの生活や仕事において、欠かせないものとなりました。

正式名称はクラウド・コンピューティング。クラウド(Cloud)とは、文字通り「雲」を表します。従来、目の前のPC内にあったデータやソフトウェアなどを、インターネット上のサーバーに移行し、必要に応じて利用するというコンピューターの利用形態のことです。「インターネット上のサーバー」が“実体をつかめない”ものである点が、「雲」のイメージに重なります。

オフィスや業務において「クラウド化」が進むことで、何が変化するのでしょうか。業務の効率化やコスト削減を実現する武器として、大企業はもちろん、最近は中小企業でも導入が加速しています。

それでは、どのようにクラウドが利用され、効果を生み出すのでしょうか。今回は「従業員100人、うち営業職50人のA社」がクラウドサービスを導入した場合の事例を見てみます。

最も馴染み深く、身近なクラウド。webメールサービス

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「会社に戻って、メール確認します」
このセリフに即座に違和感を覚えたなら、あなたは“クラウド世代”と呼べるかもしれません。しかし、十数年前のビジネスシーンでは、こんなセリフも日常茶飯事だったかと思います。クラウド化されていないPC一つで仕事をしていると、外出しているときにメールを受信してもそれを見ることはできません。

営業訪問中、お客様に別の商品の詳細を聞かれ、資料を持ち合わせていなかった、というケースも同じかもしれません。

外出先にいながら、メールをチェックし、データやファイルを管理するには、自社でサーバーやネットワーク機器を設置する必要があります。ハードウェアの初期投資も、運用保守のコストも膨大になってきます。

クラウド化すると……

クラウドを利用することで、自社でサーバーを導入する必要がなくなります。必要なクラウドサービスを必要な時に利用すればいいのです。設備にかけるコストは大幅に削減できる。サーバー構築や運用の知識がなくても、サービスを得ることができるのです。

Googleが提供するグループウェア「Google Apps」なら、サーバーを構築するよりはるかに安価に、クラウド上でデータやファイルの保管、共有を可能にします。外出先でもオフィスと業務を行うことができます。PCやタブレットなどインターネットに接続できる機器があれば、訪問の際に大量の資料や書類を印刷して、持参する必要はなくなります。

【A社(従業員100人、営業職50人)がGoogle Apps(1人あたり500円/月)を利用】
100(人)×500円=50000円/月
50000円/月で、社員が場所やシーンを選ばず働ける会社に!

ビジネスで絶えず起こる「申請、承認、決裁」の手続き。クラウド化で時間的コストを削減

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会社で働いていれば、「申請・承認・決裁」の一連のワークフロー(業務手続き)は、誰もが経験するかと思います。営業職など外出の多い仕事であれば、交通費や旅費の精算、取引先への見積り提出に必要な上司の承認、さらには休暇届など。組織でのビジネスには必ずワークフローが付いて回ります。

ワークフローを紙の書類で行うと、

・申請者や上司が外出中だと、申請ができない、もしくは申請自体が滞る
・大量の交通費精算は、申請書類の枚数も増え、作成にも多くの時間が必要
・申請書が現在誰の手元にあり、どの段階なのかが見えない

といった課題に直面します。

クラウド化すると……

クラウド上で「申請」から「決裁」まで完結するサービスを用いれば、紙の申請書は不要になります。ワークフローに関わる誰かが社外にいても、申請が滞ることはありません。また、現在は誰の承認待ちなのか、などの進捗情報も常に確認できます。

交通費精算は、クラウド型交通費精算&経費精算ツール「ネクストICカード」といったサービスが存在します。Suica、PASUMOなどの交通系ICカードからデータを読み取り、承認者、精算書に自動記入。溜まってしまった伝票や精算を手入力で処理すれば、数時間かかるはず。それを数分で済ませることができるのです。

【A社(従業員100人、営業50人)がネクストICカード(1人あたり500円/月)を利用】
営業職60人に導入
<投資額>
50(人)×500円/月=25000円
<事例>
・1ヶ月分の交通費申請書を手入力=約2.5時間/人
・「ネクストICカード」にて経費申請 =30分/人
<差分>
2(時間)×50(人)=100時間
投資額30000円で、100時間/月の時間創出!

クラウド化で社内の顧客情報を共有、管理、活用。効率的な営業戦略を立てる

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営業先の新規開拓のため、人脈構築のため……。ビジネスの世界では日々、名刺交換が行われています。次は、名刺の管理について考えます。特に多いのが、担当者がそれぞれで名刺の管理をしているケース。個人の管理に委ねられていると、紛失の危険性が生まれる上に、企業としての顧客情報の把握が不可能です。

クラウド化すると……

名刺の情報を電子化して管理するクラウドサービスも非常に多いです。顧客情報をデータで残し、社内で共有してしまえば、もはや交換した“紙の名刺”は必要なくなります。いざ連絡を取りたい時に、名刺を探し回るようなこともなくなります。当然ながら、インターネットを通じてどこにいても簡単に情報を取り出すことができ、大量であればあるほど、検索性のメリットも増していきます

名刺から顧客データベースを構築できる「Sansan」などの、スマートフォンで名刺を撮影するほか、先日発売になった「ScanSnap Sansan Edition」で大量の名刺を一気にスキャンし、簡単に名刺を電子化できるサービスも存在します。これまで手入力でリストを作成していたのであれば、大幅なコスト削減が見込めます

【A社(従業員100人、営業職50人)がSansan(1人あたり3500円/月)を利用】
営業職60人が利用
<投資額>
3500円×50(人)=175000円
専用スキャナ 12000円÷12(月)=1000円
<事例>
1ヶ月分の新規名刺管理を手作業で入力 =2時間
<After>
スキャナで名刺をデータベース化 =6分
<差分>
1.8(時間)×50(人)=90時間<効果>
投資額176000円で、90時間/月の時間創出!

クラウドサービスの提供企業が正しい相手であることを確認すれば、クラウドは怖くない

cloud with pad lock over white background vector illustration
クラウドを利用するとなると、最も懸念される部分が、セキュリティの部分。特に、データの扱いです。機密情報を含む大切なデータを第三者の機関に預けることになるので、導入前にはさまざまな観点からの検討が必要です。

・障害などでデータが消失する
・預けたデータが外部に漏えいする
・利用するアカウントが第三者に悪用される

などのリスクを考える必要があります。

クラウドサービスを提供する企業において適切な内部統制が行われているかを判断する手がかりとして、「監査基準委員会報告書18号」などの内部統制に関する基準をクリアできているかを調べる方法もあります。信頼度を示すためにも、クラウドベンダーに必須の基準と言われています。

クラウドは手段。業務効率化やコスト削減を「実現」してこそ意味がある

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上記で紹介したもの以外にも、クラウドサービスの種類は多岐にわたります。クラウドを導入する際は、どの業務分野に適用するのか、整理することが大切です。つまり「クラウド化で、どのような効果が期待できるのかを正しく見極めること」です。

クラウドの導入はあくまで手段。目的ではありません。しかし、現在の業務をしっかりと見直し、既存のシステムを知ることで、クラウド化するメリットがたくさん見つかるはずです。

名刺をはじめ、請求書や領収書といった“紙”を利用している業務は、クラウド化が比較的簡単で、高い効果を感じられるかもしれません。まずはそのあたりから導入を検討してみてはいかがでしょうか。